都市農村交流施設として長野県伊那市に立地する産直市場グリーンファームの事例を取り上げ、当該組織の社会的意義に着目しながら、地域社会における企業間のネットワーク構造を社会ネットワーク分析によって明らかにすることを主たる目的とした。分析の結果、2010年において農業就業人口の過半数が70代以上で構成され、また自給的農家が総農家の63%を占める変動下の当該自治体において、対象組織は地域資源を活かしながら地域社会における各種主体と様々なネットワークを有し、住民の学習機会やネットワークを形成する場として地域社会における多様な協同の機能を担っていた。こうした中で対象組織は、対象とした地域社会に立地する各企業が取り結ぶネットワークのハブ機能を有し、より小規模な企業間のネットワーク構造を仲介する潜在機能を担っていることが明らかとなった。