本論文は、20世紀チェコの哲学者パトチカ(Jan Patočka, 1907-1977)のコメニウス研究の特質について考察したものである。パトチカは、コメニウスの実存主義的な読解を通じて、自己中心性の克服による精神の開放性の実現がコメニウス教育思想の目的であるとした。この解釈の基盤には、パトチカ自身とコメニウスの哲学におけるデカルト哲学との距離があった。