![]()
|
これは、17世紀チェコの思想家ヨハネス・アモス・コメニウスの晩年の主要著作『人間に関する事柄の改善についての総合的熟議』の第3部である『パンソフィア』を精読するプロジェクトの一環である。 本論文の前半では、日本の教育学文献で『パンソフィア』がどのように扱われてきたかを概説した。一般的に、日本の主要な教育学者は『パンソフィア』に否定的な評価を与える傾向があった。しかし、これはコメニウスのテキスト自体への十分な言及がなかった誤解や、当時の教育および教育論争の動向に少なからず影響されている。 本論文の後半では、日本における『パンソフィア』に関するこれまでの研究をフォローアップした。パンソフィアが日本で本格的に知られるようになったのは戦後のことだが、当時はマルクス主義に基づく教育学研究が盛んだった時代であり、この時期のパンソフィア研究は、多かれ少なかれコメニウス思想を近代化するものであった。ゆえに、パンソフィアを精読して再解釈する必要がある。 |