本論文は、2021年9月に開催された教育思想史学会第31回大会のシンポジウム1「大学と科学」に対する大会時コメンテーター論文である。コメニウス研究の視点から近代大学の前史に言及した上で、ウェーバーの宗教社会学をヒントに、学問の多様化を考察した。世界に対する肯定的態度と拒否的態度を縦軸に、価値に対する絶対的態度と相対的態度を横軸にとれば、第一象限に啓蒙主義的な知性主義が、第二象限にプラグマティズムが、第三象限にニヒリズムが、第四象限に啓示信仰が位置づけられるといえる。これらのせめぎあいが、学問観や高等教育の原理に影響を与えているのではないかと論じた。