大正後期、新興芸術が移入される中、中原中也と富永太郎及び周縁の同時代の詩人たち(丸山薫、平戸廉吉)が、新しい芸術思潮をいかに受容し、また変容して、各々の詩業に取り入れていったかを考究した。殊に富永太郎については、中原中也記念館及び神奈川近代文学館に所蔵されている未刊行資料を踏査し、新たな貌を紹介している。またそうした彼らの詩業を、詩史の中で位置づけると共に、同時代の文化・諸芸術との相関性から、その詩業が有する優れた現代性について明らかにした。(全430頁)