昭和初期の有力詩雑誌『四季』に集った中原中也と丸山薫の生涯と文学的営為を、同時期に坂口安吾が提唱した〈ファルス〉の文学の主張を媒介に比較検討した。更に三者が有していた新興芸術の受容を検証し、内包されたナンセンス(無意味)の内実や、あるいはドイツ浪漫派ならびにシュルレアリスムとも響きあうような、新たな文学的傾向(オトギバナシやメルヘン)の意味するところを、様々な点から考究した。