中原中也の詩的出発に大きな影響を与えた高橋新吉のダダ詩及び、小説『ダダ』において展開されたダダの内実を分析したうえで、中原中也のダダ詩の内実と比較検討した。それにより、中原中也のダダ体験やダダ詩が、ダダが本来否定するはずだった抒情性や、ヒュマニティを胚胎する原点となってしまったという、撞着ともいえる特異性を明らかにした。