モダニズム詩と俳句との奇妙なアナロジーは、モダニズム詩の始まりが『亜』の短詩運動であったことからも明らかだ。『亜』を牽引した安西冬衛や北川冬彦の言説を追ってみると、彼等の短詩が日本の俳句がフランスに受容されてのち成った〈フランスハイカイ〉を多分に意識し、逆輸入した一面があることが分かってきた。自らの主張する詩を〈稚拙〉〈野蛮〉と評する安西や北川等モダニスト達の〈錯倒〉した意識の在り様を考察し、それがモダニズム詩の展開にどのような影響を与えているのか論究した。