〈物象詩〉の詩人として、文学史にその名を刻んだ丸山薫だが、丸山自身は〈物象〉の語について言及したことは殆どない。〈物象詩〉とは如何なるものであったのか、〈物象〉の語が詩史及び芸術論の中でどのように用いられてきたかを追ってみた。そこから見えてきたのは新感覚派の表現技法及び、それを成り立たせる世界観とのアナロジーであった。新感覚派、そしてモダニズム詩という展開の中で共有されてきた世界観・芸術観が如何なるものであったのかを論究した。