丸山薫の詩風の変化が指摘される第4詩集『一日集』については、編集過程において義妹が死去したことが大きく影響している。本来予定していた詩集の構成を変えてまで、義妹の死を哀悼しながらも、同時に抒情詩という新たなかたちの模索がなされて、詩集が編集されていたことを明らかにした。また日本においてはリルケの受容が再度高まりを見せた時期でもあることから、リルケの詩世界との相関性も考察するとともに、抒情詩というかたちが、まもなく訪れる戦時下という難しい時代の中でどのような予兆として位置づけられるのか考察した。