富永太郎の母方の父祖の地であるとともに、太郎の父・謙治が少年時代を過ごした思い出の地である岐阜県恵那市において、現地調査を行い、新たに出会ったご遺族への聞取りや、現地の歴史的資料を調査し、冨永家の秘められた複雑な血脈とその意義を明らかにした。更に神奈川近代文学館所蔵の未刊行資料から明らかになった太郎の父・謙治の抱えていた、没落した名家の誇りが、複雑な血脈を編みだしたこと、そしてそれが太郎の詩世界にどのように投影されているのか考察した。