中原中也と富永太郎が高く評価した宮澤賢治をはじめ、日本未来派詩人を標榜した平戸廉吉等、新興芸術思潮の影響のもとに活躍した同時代の詩人たちに共通する、世界同時代性のあらわれともいえる〈プリミティヴ〉なるものへの志向を明らかにした。さらにその志向の内実を極東に在るという、日本の特異な地理的・文化的状況を踏まえたうえで、その背後にうかびあがる、日本の〈近代〉が抱え込んできた複雑な問題を検証した。