新興芸術の移入が相次ぐ時代の中で、中原中也とその周辺の同時代の詩人たちがそうした新しい思潮をどのように受容し、変容して、自身のものとしていったのかを、同時代文献を実証的に考察することで追究した。殊に富永太郎に関しては、二つの文学観が所蔵する未刊行資料を踏査することに拠って、これまで知られていなかった新たな貌を明らかにした。なお、2011年刊行の拙著『空の歌―中原中也と富永太郎の現代性―』は、この博士論文に加筆修正等、大幅に手を加えて編集したもの。