モダニズムの影響が強く残存する、丸山薫の第2詩集『鶴の葬式』の詩世界が、同時代その受容が最盛期を迎えていたドイツ浪漫派の、シュルレアリスムとも通底する〈メルヘン〉的な世界観や、〈メタモルフォーゼ〉といった独自の手法から成り立っていることを、詩世界を読み解くことによって明らかにした。またこうした世界観で成り立っている詩世界の〈平面性〉が、丸山も好み、また同時代に人気もあったモダニズムの前身ともなった画家アンリ・ルソーの画風の成り立ちとも共通していることを説明したうえで、丸山の構築した詩世界の構造を明らかにした。