本稿は、従来の憲法学における通説が、「委任立法」現象が正常ではないものと位置づけ、その正当化を議論していた論理構造を批判的に考察したものである。ドイツにおける法規命令の機能を基本法解釈によって体系化する議論を、そのアプローチの整合性から検討した。そこで吟味されたアプローチを日本国憲法解釈に応用することで、通説に代わる「委任」の規範論的正当化理論の提示を試みた。