本研究の目的は、児童養護施設等で育ち、退所した若者の実態と生活困難の諸相を、特に健康リスクと家族形成のプロセスに焦点をあてながら明らかにするとともに、施設等で育つ子ども、退所者への政策的介入および支援のあり方を検討することである。退所者を、日本社会において最も社会的排除されやすく複合的な困難を抱えやすい層と位置づけ、最も困難な状況に陥っている退所者の実態を浮かび上がらせるとともに、早期に家族形成をしている退所者の生活世界を明らかにするものである。