高齢化率が世界トップの日本では,少子化,晩婚・晩産化が同時に進行している。以前の日本では,育児は青年期後半から成人期前半,介護は成人期後半以降のテーマであり,「シングルケア」が主流であった。しかし,晩婚・晩産化した現代の日本においては,子や孫の育児と祖父母や親,きょうだい等の介護が同時に起こる「ダブルケア」が,今後ますます多くの人の人生に長期にわたって関係する重要なテーマとなる。
本研究の目的は,広義のダブルケアラーの多様な実態をダブルケアラー当事者と社会福祉関係者から把握した上で,ダブルケアラーがケアする経験が,人生にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることである。