〔目的〕中高年女性において尿失禁が日常生活のQOLにどのように影響しているか,を明にすることである.〔対象と方法〕自立生活している40歳以上の女性262人,排尿状態における日常生活への影響について①属性②排尿に関すること③日本語版IIQ(Incontinence Impact Questionnaire)質問用紙に無記名自己記入式による調査を実施し,多変量分析を行った.〔結果〕対象者の平均年齢は56.1±10.0歳.尿失禁ありは,111人(42.4%),以前に尿失禁の経験ありは,39人(14.9%),全くなしは,112人(42.7%)であった.尿失禁のタイプは,腹圧性尿失禁が62名(55.9%),切迫性尿失禁が13名(11.7%),混合性尿失禁が36名(32.4%)であった.ロジステック回帰分析では,年齢とIIQ項目の「Q5歩く・泳ぐ・スポーツでからだを動かす」「Q11地域の集会に行く」「Q19 どんな服装をするか」「Q30 恥ずかしい思い」(p<0.01),「Q6娯楽(映画・コンサートなど)を楽しむ」「Q8車やバスで家から30分以上の場所へ外出する」「Q23 臭わないか,という心配のために活動が制限される」(p<0.05)の8項目を抽出した.因子分析では,因子1≪日常の生活行動≫,因子2≪余暇行動≫,因子3≪気がかりな対人行動≫の3因子を抽出したCronbachの係数は,.975であった.〔結語〕尿失禁を経験している中高年女性は,心理的影響をもちながら家庭生活や対人関係、社会活動のQOLに影響を与えていることが示唆された.