地域精神医療において消滅していたと思われていた「私宅監置」について、複数の事件の報道により現代もまだ行われていることに精神医療福祉関係者は衝撃を受けた。この問題に関し看護師の立場から次のように意見を述べた。
1、多くの看護師が働いているのは地域というより精神科病院であり、そこでは私宅監置同様に患者の行動を制限する医療行為である「隔離・身体拘束」に看護師は深く関与している。
2、精神科病院における「隔離・身体拘束」に看護師はどのように問題意識をもち、取り組んでいるのかその現状を日本精神科看護学会誌(2013~2015年、計5誌)をレビューした。
3、臨床で看護師の問題意識や取り組みは①行動制限の長期化、その解除の見通しがたたないこと、②行動制限解除・行動範囲拡大に向けた判断ツールの開発に熱心であること、③患者の高齢化にともない身体合併症病棟における行動制限が増えているが、精神科病棟より一般科病棟のほうが行動制限に対する制約が緩いこと、④行動制限解除に関し、病棟管理の面から看護師の責任が重く感じられ、不安が強いことがわかった。