この註釈は多くの引用経典を用いて釈している。中でも『大日経』と『初会金剛頂経』の引用は圧倒的に多い。『大日経』は23箇所引用されており、それぞれの引用意図を明らかにすることで、『大日経』の特徴と、本経軌の特徴が明確化された。すなわち、『大日経』の引用によって、衆生済度、脱悪趣は一切智智によってなされるものであること、清浄にするというそのものが一切智智を獲得することに結びつく。