キーワード:佛教福祉、大日経、ブッダグヒヤ、百六十心 善無畏三蔵、一行著『大日経疏』の百六十心について考察した。六十の心一つ一つに対治を挙げており、その対治は三毒を離れ、無自性空を修習し、四摂事、十波羅蜜など菩薩行などであるが、中には密教的な対治が四カ所ほどあり、速疾の密教方便を以て悟りに至ることを促している。両者共通の人間観は、個々の支分やその機能の特殊性を空観を通し、積極的に活かしてゆくことにあり、そこに仏教福祉の示唆を見いだした。