本研究では、貴族院改革史(縦の流れ)だけでなく、1968年という時代性(横の流れ)のなかで68年法案を再検討する。それを通じて、1960年代において貴族院議員たちが自らの社会的立場、および貴族院自体を「同時代化」しようとする姿を考察し、貴族という特権階級がイギリス社会で生き残りえた理由について、貴族院で行われた法案審議での議論を中心に、彼らの継承性と多様性に着目して論じていく。