キーワード:イギリス 官僚制度 競争精神 能力主義 この論文では、近代イギリスにおける官僚任用試験制度の実施を通じ、受験産業の興隆とその批判を分析することで、官僚の実態とジェントルマン理念との矛盾を明らかにし、「独学」=自助による官僚像の再形成と、「競争精神」が正当化されていく過程を考察した。試験により導入が企図された「競争精神」は以前とは違ったジェントルマンの価値観を醸成したのであり、結果的に官僚には「競争精神」の獲得が必要されるようになった。