キーワード:マルタ アイルランド 教育 帝国 コラボレーター キーナン 特集用論稿として、19世紀後半に直轄植民地マルタ島で活動したアイルランド人行政官P. J. キーナンを事例に、イギリス帝国の中で「アングロ・アイリッシュ」が果たした役割を検討した。彼による英語教育機構の移築は、アイルランドの経験を他の植民地に還元し、帝国内秩序への参入を助けたが、他方で帝国の構造自体を揺るがす問題ともなった。彼らは、帝国支配の「協力者」でありつつ、植民地の意義を変えうる存在だったのである。