キーワード:マルタ イギリス 官僚 公開競争試験 帝国 英語教育 この論文では、イギリス帝国の行政システムに対する植民地からの影響について検討した。1850-70年代に英領直轄植民地マルタ島行政参事会からイギリスの議会に提出された、マルタでのイギリス本国官僚の選抜試験実施に関する請願を分析することで、同請願が、地域性を超えた「天成の臣民」の概念をイギリスの諸官庁に議論させ、植民地のイギリス化や英語教育体制について帝国としての態度を再考させる機会となったことを明らかにした。