キーワード:法然,浄土教,倫理 本論文は、法然浄土教の倫理に関する先行研究を概観、分類し、自らの考察を加えたものである。特に発表年次順に先行研究を見てゆく時、傾向として法然浄土教と日常倫理の一致という論調から、法然浄土教は日常倫理とは別次元であるという論調へと移行していることが指摘できる。しかしながら、逆修説法に見られる孝養等への言及をみるならば、法然浄土教の倫理は、日常倫理からの連続性にこそその特色が指摘できるのである。