キーワード:法然, 至誠心, 内外相応の心, 余行を交えな心, 煩悩に侵されない心
浄土宗の安心として規定される三心のうちの至誠心については、これまで『選択集』を中心としながら他の遺文を用いてその内容が理解されてきた。しかし、法然遺文には従来その内容とされる「内外相応」といったこと以外にも様々な理解が見られる。本論文では『醍醐本』『西方指南抄』『語燈録』を対象として多様な至誠心解釈を収集し、それらを「内外相応の心」「余行を交えない心」「煩悩に侵されない心」「余善諸行を嫌う至誠心・阿弥陀仏の施す真実」の四