キーワード:法然,人間観,三心料簡および御法語 醍醐本に含まれる「三心料簡事」以下の法語は、法然の法語であったのかどうかが問題視されるものである。本論文は『選択集』「三選の文」における能動的に生死を離れることを欲し得るという人間観を基準として、「三心料簡事」の記述が法然の人間観と一致しないことを指摘した。また、一連の法語中には互いに矛盾する内容が見られることから、これらが一貫した思想の下に編纂されたものではないという見解を提示。