松本榮一氏による研究以来、初唐期の西方浄土変は『観経』とは本来的に無関係であると見做されてきた。しかし、実際には唐代の西方浄土変には『観経』にしか説かれない独特の図像が描き込まれているだけでなく、『観経』十六観というものが西方浄土を“観る”ための方法を説いたものであり、むしろ『観経』こそが西方浄土変の最も重要な典拠であったことを明らかにした。