当麻寺の綴織当麻曼荼羅図が、唐代前半期に敷かれていた諸州官寺制のもと、宮廷や官府に直属の工房において制作された可能性に着目する。そのうえで、隋代に始まり唐代前半期に受け継がれる諸州官寺制を通して、隋唐期の宮廷が仏教美術、とくに織成像や繍仏、仏画といった絵画的作品の制作と流布に果たした役割を指摘する。