キーワード:境界性人格障害、カルテ、ナラティブ 境界性人格障害患者との6年間の苦闘と歩みをまとめたものである。患者自身が自らの歩みを「カルテ」と題してナラティブにまとめ、外来に持参した。入院当初の混乱や激しい情動を距離を持って振り返り、自らの人生の物語として血肉化し、紡ぎあげていった。そのプロセスに同伴したセラピストとして、苦闘しながら、共に学んだ、互いに成長したという感慨を抱いた。何が治療的に働いたのかという検討と同時にそうした計らいを超えた何者かに言及した。