本稿では呉越国による首都杭州城の改造について論じた。唐代までの杭州城は銭塘江の潮害に苛まれる一方で,大運河の最南端都市としてあった。呉越国首都時代には,城壁や防波堤,水門,干満計,道路などの整備が進められ,港湾都市として変貌することとなった。また,近隣都市との交通路整備も進められ,杭州を中心とした両浙地域の編成もすすめられたことを明らかにした。