パーキンソン病の摂食嚥下障害は,レボドパ治療が必ずしも有効ではなく難治性の症状であるため,誤嚥性肺炎のリスクを想定した長期的ケアが必要である.
理学療法士としては,気道保護と関連し嚥下機能とともに障害される咳嗽の評価や,特徴的な姿勢異常がどのように誤嚥リスクに影響しているかを確認することが重要である.
咽頭への送り込み運動においても,歩行や手指運動と同様に,外的刺激の有用性や二重課題の弊害が報告されており,口腔期の障害への対策において考慮する価値がある.
今後,疾患の進行や重症度からみたアプローチの適応と限界ついての検討や,長期的な結果に焦点をあてた研究が必要である.