長年「多元主義者」として知られてきたダールが、80年代からは多元主義への批判をはじめたことから「二人のダール」説が生まれている。しかし、彼の理論は注意深く検討すれば、彼は決して多元主義を放棄していないことが分かる。放棄したのではなく、彼はポリアーキーの更なる民主化のために、多元主義がもたらしている課題の克服へと関心を移したのであり、そのことが多元主義に対する批判として現れたのである。(74ページ)