90年代に入り、政治だけでなく社会の民主化が必要であるとするダールの論調はすでに50年代には従業員による企業経営を主張する企業自治論という形で説かれていたものであった。ダールによれば、従業員による企業経営が正当化される根拠は「企業の決定は従業員を拘束するものであり」「拘束力ある決定を下す過程に市民は参加する権限をもつ」というものであるが、その「拘束力」概念は必ずしも明確なものではなかった。(28ページ)