まず障害者権利条約の批准から対日審査までの経緯及び国連障害者権利委員会からの事前質問について概説した。なお、事前質問の共通点として、日本における人権や障害の捉え方、障害者施策の方向性を「医学モデル」から「社会モデル」へと転換を求めていると指摘した。次に、2022年8月22日・23日、スイス・ジュネーブで行われた第1回対日審査(建設的対話)について、国連TVによるライブ配信とオンデマンド配信(録画)をもとに国連障害者権利委員会と日本政府代表団との建設的対話の過程を報告した。なお、国連障害者権利委員会委員による建設的な質問に対して、日本政府代表団は委員の質問の意図や内容を理解しようとせず、事前に提出した報告書の文章を読み上げるだけという極めて不誠実な回答の連続であった。加えて、委員からの精神科医療の権利擁護に関する質問に対して、厚生労働省の担当者は、医療保護入院や身体拘束、精神医療審査会等の正当性を述べることに終始していたことを報告。