清末画師・呉友如の創作意識に関する研究の報告。呉友如の作品における中国と西洋の交錯は、単なるモティーフの混用というレベルにはとどまらなかった。その交錯はむしろ、作品の「記号性」にしても、洋画技法の吸収にかかわる「感覚の重視」にしても、彼における中国人画師としての伝統的観念に端を発し、複雑な本質を露呈する現象であったと考えられる。