中国の伝統絵画の世界においては、原則として題材から除外されてきた「海」であったが、清末に至るやその状況は一変し、積極的に描かれるようになった。その事情と理由について、思想的・社会的背景から考察し、概括的に発表したものである(2013年3月に発表した拙論「清末中国における海の絵の受容をめぐって」の内容を承けた発表)。考察材料としては『点石斎画報』(1884年創刊)より、海の絵とみられる全イラストを抽出して使用した。