明治期以降の近代化の過程を、地方都市金沢の象嵌職人の日記を資料として分析する。金沢では近代化の一つの戦略として「伝統都市」になることが選択され、地域の伝統職人は産業育成の側面からも、また、コミュニティの中心人物としても重要な役割を担ってきた。金沢では「地の者」が中心となり、また近隣の人間関係が優先されて、地域社会が形成されている。