チェコ20世紀の哲学者ヤン・パトチカは、コメニウスの思想の根本的な意図は人間存在の開放性の実現にあると見た。ただ、パトチカの解釈は開放における受容的な側面に力点が置かれていた。本論文では、コメニウスのテクストの分析から、コメニウスのうちに開放における贈与的な志向性があることを明らかにした。とくに彼の自発性概念が暴力の対概念として設定されている意味を論じた。